耳管開放症(じかんかいほうしょう)
耳管開放症とは
耳管開放症は比較的新しい疾患概念ではありますが、実際の患者さんの数は予想以上に多い疾患です。耳管の管は平静時は閉じていて、嚥下(えんげ:飲み物や食べ物を飲み込むこと)やあくびなどに際して開放されます。これが常時開放していたり、一定時間連続して開放していたり、または周期的に開放している状態を耳管開放症といいます。このような耳管が解放している状態においては様々な症状が現れます。
症状
自分の声が耳に響き(自声強調)、呼吸音も聞こえます。呼吸のたびに鼓膜が動きボコベコという音がします。また、耳閉塞感も伴います。これらの症状は前かがみになったり頭を下げたり横になったりすると軽減します。これは耳管周囲の静脈、リンパ管のうっ滞によります。また、はなすすりを症状改善のために無意識に行っていることもあります。
所見
鼓膜所見は正常であり、強い呼吸運動を行うと呼吸に連動しておこる鼓膜の動きを観察できます。
原因
最も多いのは体重減少による耳管の周囲組織の減少(耳管の前方にあるオストマン脂肪体というものの減少)によると考えられています。その他神経疾患で鼻咽頭粘膜が萎縮した場合、妊娠、経口避妊薬の服用、腎透析、脱水、耳管咽頭口の傷跡(アデノイド切除後)などにより起こります。
好発年齢
中年~高齢者
治療
原因となることの解消により自然に良くなることが多いので、原因の治療を最優先に行ないます。
耳管開放症の治療は最も困難な治療の一つです。というのも耳管開放症は急激な減量による際のオストマン脂肪体の減少で起こることが多いので、これを治療・改善することには時間を要するからです。
〈耳管機能異常(耳管狭窄症、耳管開放症)の他の説明〉