急性扁桃炎(きゅうせいへんとうえん)とは
急性扁桃炎とは
急性扁桃炎は口蓋扁桃(こうがいへんとう:いわゆる扁桃腺)の化膿性の炎症でウイルスや細菌に感染して起こります。原因菌として溶血性レンサ球菌、ブドウ球菌、肺炎球菌が多くみられます。「のどが痛い。そういえば熱っぽいな。」など風邪を引いたかなと思うきっかけにもなります。口から入った病原体は主として、リンパ組織である口蓋扁桃に付着することで感染が生じ、炎症を引き起こします。感染した扁桃は赤く腫れ、痛みや高熱(38~40℃)を伴います。初めは物を食べるときに痛い嚥下痛だけであったのが、やがて何もしないときにも痛い自発痛(じはつつう)となってきます。咽頭痛がひどくなると嚥下困難や放散性耳痛(ほうさんせいじつう:耳以外の原因によって起こる耳痛のこと)を生じます。また悪寒戦慄(急にガタガタと震えだして発熱が見られるような状態)、全身倦怠感、手足の関節痛、頸部(首)のリンパ節の腫脹や圧痛(圧迫した時に痛むこと)がみられることがあります。
ウイルス感染だけであれば抗菌薬の必要はありませんが、溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん:溶連菌とも呼ばれ、飛沫感染や皮膚からの接触感染によって、咽頭炎や急性扁桃炎を引き起こします。溶連菌によって起こった感染症を溶連菌感染症といいます。)という細菌による感染の場合は、扁桃炎の症状も重く、イチゴ状舌や全身に赤い発疹が多数出ることもあり、抗菌薬の治療が不可欠です。溶連菌による急性扁桃炎の合併症として急性中耳炎や急性鼻副鼻腔炎も起こしやすく、また急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん:血尿やタンパク尿が出る腎臓の病気のひとつ。90%程度が溶連菌感染後に起きるといわれ、扁桃炎や咽頭炎の後に発症することが多い病気です。)やリウマチ熱(溶連菌に感染して1~3週間後くらいに発症する病気で、全身の結合組織(上皮、筋、神経組織以外の部分)、関節や心臓、血管、神経などに炎症が起こり、心臓弁膜症の原因になります。)、血管性紫斑病(けっかんせいしはんびょう:免疫学的な作用により全身の血管が障害を受ける小児に好発する病気で、アレルギー性紫斑病ともいわれます。血管がもろくなり内出血を起こしやすくなり、身体に紫斑(しはん:内出血で現れる斑点)が出ます。)などを起こすことがあります。
<急性扁桃炎の他の説明>